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刑事実務再現

第1 設問1

 1 「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法(以下「法」という。)89条4号)かどうかは、➀罪証隠滅の対象、➁罪証隠滅の態様、③実効性、④主観的可能性を判断要素として判断する。

 2 本件において、Aは犯人性を否定しており、犯人性が争点になることが予想されるところ、Aが犯人である旨を述べたW2の証言があることから、AはW2を威迫して、証言の変更を求めることで罪証を隠滅することが考えられる(①、②)。そして、本件では、W2は、Aと知り合いではないものの、犯行現場のK駐車場の隣に住んでおり、Aがその気になればW2を特定して威迫し、証言の変更を求めることができる(③)。加えて、本件被告事件は、本件自動車を損壊した上で、現金200万円と本件カーナビを窃取するという重大事件であり、被害者が厳罰な処罰を求めてることからしても、実刑判決の可能性は十分にある(刑法235条、25条1項柱書参照)。犯人性を争っているAは、実刑判決を免れるため、上記罪証隠滅をする主観的可能性がある(④)。

 3 以上の判断過程を踏まえて、裁判官はAについて89条4号所定の事由があると判断したと考えられる。

第2 設問2

 1 弁護人は、類型証拠開示請求(法316条の15第1項)をする際、㋐証拠の類型、㋑証拠の開示が証明力を判断するため重要であり、防御準備のため必要であることを明示する必要がある(法316条の15第3項1号イ、ロ)。

 2 ①の証拠について

(1)実況見分調書は、強制処分でない点を除いては、検証と変わるところはないから、法321条3項に準ずる書面にあたる。したがって、①の証拠は法316条第1項3号の類型証拠にあたる(㋐)。

(2)本件の争点はAの犯人性であるところ、甲8号証は、Aの犯人性を肯定する重要な間接証拠であるからこの信用性を判断するのがAの防御の上で重要である。そして、W2の目撃証言が信用するかを判断するにあたっては、犯行現場の位置関係、明るさ等の状況を把握し、W2は犯人を目撃しえたのかを確認することが重要である。したがって、①の証拠の開示が甲8号証の証明力を判断する上で重要である(㋑)。

 3 ②の証拠について

(1) ②の証拠はW2の供述録取書であり、W2は「検察官が証人として尋問を請求した者」にあたるから、②の証拠は法316条第1項5号の類型証拠にあたる(㋐)。

(2) 前述のとおり、甲8号証の証明力を判断するのがAの防御上重要である。そして、甲8号証明力を判断するにあたって、甲8号証以外のW2の供述内容をみて、供述内容の変遷の有無を確認することが重要である。したがって、②の証拠の開示が甲8号証の証明力を判断する上で重要である(㋑)。

 3 ③の証拠について

(1) ③の証拠は、「被告人」以外の目撃証言を内容とする供述録取書であり、甲8号証により直接照明しようとするAの犯人性の有無に関する供述であるから、法316条の15第1項6号の類型証拠にあたる(㋐)。

(2) 甲8号証の証明力を判断するにあたって、W2以外の目撃証言の内容を確認し、W2の目撃証言内容と矛盾抵触がないかの確認をすることが重要である。したがって、③の証拠の開示が甲8号証の証明力を判断する上で重要である(㋑)。

 4 弁護人は、以上の事項を明らかにすべきである。

第3 設問3

 検察官は、新たに証明予定事実として、本件CDも被害品であること、AとBが共謀の上で反抗を行った旨を新たに追加するため、その旨の記載がされている書面を、裁判所に提出し、Aの弁護人に送付する(法316条の21第1項前段)。

第4 設問4

 1 小問(1)

(1)直接証拠とは、主要事実を直接証明する証拠をいう。間接証拠とは、主要事実を推認する間接証拠を証明する証拠をいう。

(2)W2は、犯人を目撃しており、その犯人がAであると述べているから、この供述は主要事実たるAの犯人性を直接証明する証拠として、直接証拠にあたる。

 2 小問(2)

(1)裁判所は証人尋問請求の決定をする際に、訴訟関係人の意見陳述を聴かなければならない(刑事訴訟規則(以下、「規則」という。)33条1項本文前段)。

(2)本件において、W2の証人尋問請求に対して、Aの弁護人はその必要性がないと意見を述べている。そのため、裁判長は、W2の証人尋問請求の決定する前に、検察官に対してW2の証人尋問の必要性についての意見を聴くため釈明したと考えられる。

 3 小問(3)

 W2の証言はAの犯人を肯定する旨の証言をしており、犯人性を判断する上で重要な間接事実である。そのため、W2を裁判官の前で証言させ、その信用性を吟味するべきである。したがって、W2を尋問する必要性は高い。

 以上のことを、検察官は釈明すべきである。

第5 設問5

 1 Aの弁護人は、本件領収書の証拠取調べ請求を公判前整理手続終結後に行っており、当該請求は「やむを得ない事由」がない限り、許されない(法316条の32第1項)。本件において、Aの弁護人は、第1回公判前期日後の9月15日に本件領収書の写しを入手しており、その入手時期も不適切ではない。そうすると、当該請求を公判前整理手続で行うことは不可能だったといえ、「やむを得ない事由」がある。したがって、Aの弁護人の請求は認められる。

 2 Aの弁護人は、前述の通り、「怠慢により又は不当な目的」をもって裁判手続を遅延したとはいえず、当該請求は弁護士職務規程76条に違反してるとはいえない。

                                    以上

                                       

雑感

再現率95%以上

実務要素が強い問題だったように感じました。伝聞来なかったのは意外でした。

設問Ⅰについて

月並み。被害品隠匿は書けた人尊敬。

設問2について

たぶん、再現見る感じ他の人よりがっつり書いてます。答練で配点高めに設定されてた記憶があるのでここで稼ごうと丁寧に書きました。

設問3について

訴因変更落としてますね。

設問4について

(1)は引っかかりました。 簡単だなとか思ってた自分がバカでした。

(2)は33条あげたんですが駄目なんですかね。208条にも触れればよかったと思いました。

※追記

おそらく、33よりも規190②がベターですね。

(3)の共犯者の引き込みの危険は知らなかった。

設問5

倫理は死んでますね。条文ざっと見ても思いつかなかったので諦めて見直しのほうに時間割いてました。

いろいろ落としてるけど、難しかったぽいので全体的にみて平均的な答案だと思います。民実が目立ったミスがないので、そっちでどうにか稼いでもらうって感じですね。