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H27 刑訴法

※手入れ後ですが読解可能な状態。本試験はワードで答案作成していることを踏まえて1h40mを制限時間としています、今回は時間切れ。

第1 設問Ⅰ

1 捜査①

(1) ICレコーダーを使用して、3分間乙の会話を録音した行為は「強制の処分」にあたり(刑事訴訟法(以下略)197条1項但書)、強制処分法定主義ないし令状主義違反(憲法35条、刑訴法218条1項)とならないか。

ア 法が「強制の処分」について厳格な手続、要件を課していることに鑑み、強制の処分とは、①相手方の意思に反して、②その重要な権利・利益を実質的に制約する処分をいう。

イ 乙は、自身の会話が録音されていると知れば、それを拒絶したと考えられるから上記行為は乙の意思に反する(①)。通常第三者に知られたくないのが普通

 上記行為により、一定程度乙の会話についてのプライバシー(憲法13条)が侵害されている。しかし、上記行為はベランダという外界に近いと接する部分で行われ、乙の会話は乙方ベランダの隣にいるPにも聞こえていた。ベランダで通話すれば会話内容が隣人に聞こえるのは予測できるところであり、Pは聞こえてきたものを録音したにすぎない。また録音時間はわずか3分と短い。そうだとすれば、乙のプライバシーの侵害は重大なものとはいえず、重要な権利・利益の実質的な制約は認められない(②不充足)。隣人に聞かれることもある程度受忍せざるを得ない場所で行われたという意味で録音によって制約される権利・力栄がそれを強制処分とするほど重要なものではない。

(2) ア もっとも、上記行為は任意処分にあたるとしても、捜査比例原則(197条1項本文)により、その必要性、緊急性を考慮して、具体的状況の下、相当と認められる場合に限り適法となる。

イ 乙は、詐欺未遂事件の犯人の疑いがある甲と頻繁に通話をしており、甲の逮捕後乙が周囲を警戒して外出を控えていることから、500万円の詐欺未遂事件のという重大な事件の共犯者(刑法246条1項)の疑いが濃厚であった。同事件は組織的犯行の疑いがあり、共犯者同士の会話内容が検挙するにあたって重要な証拠となる可能性が高い。そのため、上記行為の必要性は高い。また、会話内容はその時録音しなければ消失するものであり、上記行為の緊急性も高く、他に代替手段もない。繰り返し行われるものであり、末端の人物を捕まえても根本的な解決とならない。乙は周りを警戒しており室外で会話することはほぼありえない以上私的空間に近い場所ではあるがここで行うしかなかった。

他方、上記のとおり乙が侵害される利益は軽微である。

以上より、上記行為は具体的状況の下、相当と認められる。

(3) よって、上記行為は適法である。

2 捜査②

(1) 約10時間にわたり本件機器を使用して乙方の居室内の音声を聞き取り、ICレコーダーでその音声を録音した行為は「強制の処分」にあたり、強制処分法定主義ないし令状主義に反しないか。

(2) 乙は、上記行為があると知れば当然に拒絶したと考えられるので、乙の意思に反しているといえる(①)。

 上記行為により、乙の居室内の音声は聞き取られ、乙は居住空間でのプライバシーが侵害されている。居住空間は私的空間であり、その場所において他者から音声を聞かれることは合理的なプライバシーの期待に反する。通常他者から音声を拾われないことは受忍していないよね。また、隣室にいるPは聞こえない音声を本件機器で聞こうとする点で聞こえてくるものを録音するよりも侵害性は高い。加えて、約10時間にわたって聴取・録音されており、このような長時間にわたる聴取・録音をすれば、乙の生活内容も一定程度推測できるものであり、プライバシーの侵害は重大である。鮮明、場合によっては何してたかわかってしまう

以上より、上記行為は乙の重要な権利利益を実質的に制約するものといえる(②)。よって、「強制の処分」にあたる。

(3) 上記行為は、五官の作用により、音を感知する強制処分であり「検証」にあたるから、検証令状がない本件では令状主義違反となる(218条1項)。

よって、上記行為は違法である。

第2 設問2

1 本件文書及び本件メモの収集の流れは、甲の自白→乙の逮捕→乙の自白→捜索・差押えである。そこで、まずは甲の自白が自白法則に反し、それによって得られた本件文書及び本件メモは証拠能力がないといえないかを検討する(319条1項)。甲の自白を起点として・・・

(1)ア 同項の趣旨は、類型的に虚偽の自白を誘発する危険性が高いとみられる状況の下でなされた自白を予め排除することで誤審を防ぐ点にある。そのため、「任意になされたものでない疑のある自白」とは、類型的にみて虚偽の自白を招来するおそれが高い状況でなされた自白をいう。

イ 警察官Qは検察官が自白をすれば起訴猶予にすると言っている旨を甲に申し向けている。起訴権限は検察官が有しており(248条)、起訴猶予になるかは被疑者にとって最も重要な事項であることを考えると、甲をして身体拘束から免れるため虚偽の自白をする可能性が高い。そして甲はこの状況の下自白をしている。そうだとすれば甲の自白は類型的にみて虚偽の自白を招来するおそれが高い状況でなされた自白といえ、「任意になされたものでない疑のある自白」といえる。

(2) そして、甲の自白により乙が逮捕され、乙の自白がなされ、それにより捜索差押許可状が発付され本件文書・本件メモが差し押さえられている。そうすると、本件文書と本件メモは甲の自白から派生した証拠といえる。これは自白法則により排除されないか。

ア 上記319条1項の趣旨からすれば、証拠物には虚偽のおそれがないため自白法則により排除しえないとも思える。もっとも319条1項の趣旨は、虚偽の自白を招来させる取調べを将来的に抑止するという点も含まれるというべきであり、そうだとすれば、そのような取調べを抑止すべく、関連性、派生的証拠の重要性等を考慮して不任意自白の派生的証拠も排除されうると考える。

イ 甲の自白と乙の自白は乙の逮捕という点で因果性は一定程度認められるが、乙は甲の供述内容を知らされないまま自白をしており、その意味で強い因果関係は認められない。また、本件文書と本件メモと甲の自白との間には2回もの司法審査を経ており、違法性は希釈されたといえる。←どちらかという関連性を弱める要素(判例)ただし強力な批判ある上個人的にも懐疑的。加えて、本件文書と本件メモ本件被疑事件に関わる証拠であり、証拠が発見されにくい証拠収集が困難組織的犯行を立証する上でこれらは重要な証拠である。

以上のことを総合すれば、本件メモ及び本件文書と甲の自白の関連性は強いとはいえない一方で重要な証拠であるから、不任意自白の派生的証拠として排除されないと考える。

(3)以上より、本件文書と本件メモの収集の観点からは証拠能力は問題ない。

2 伝聞証拠

(1)本件文書

本件文書は、伝聞証拠として証拠能力が認められないのではないか(320条1項)。

ア 同項の趣旨は、供述証拠のプロセスである知覚・記憶・叙述に誤りが介在しやすく、これを反対尋問等で吟味できないものを予め排除し誤信を防ぐ点にある。そこで、伝聞証拠とは、①公判外でなされた供述を内容とする証拠であって、②その供述内容の真実性を立証するために用いられるものをいう。

イ Rは本件文書により丙と乙との共謀を立証しようとしている。本件文書には被害者であるVの電話番号が乙の手により記載されており、その内容もVが受けた詐欺の内容及び甲の対応と一致している。このことから本件文書は詐欺のマニュアルが記載されたものといえる。そして、乙はこれを用いてVに詐欺行為をしたと考えられるところ、同書には丙の指紋がついていた。詐欺のマニュアルが記載された本件文書を犯行に関与しないものが触れるということは通常考えられないことからすれば、これによって丙が本件犯行に関わっていたことを立証できる。したがって、本件文書の要証事実は丙が本件文書に触れたこと本件文書の存在それ自体であり、供述内容の真実性は問題でない(②不充足)。乙が供述した場所から「他の詐欺証拠と」一緒に発見、「犯行前」

したがって、本件文書は非伝聞証拠であり、証拠能力は認められる。

(2)本件メモ

本件メモは、伝聞証拠に当たり、証拠能力が認められないのではないか(320条1項)。

ア Rは本件メモにより丙と乙との共謀を立証しようとしている。本件メモは乙の手書きにより作成されたものであり、その記載内容と本件文書の内容を比較すると、詐欺内容が一致しているため、「マニュアル」とは本件文書を指すものと考えられる。しかしながら、乙と丙の共謀を立証するには、丙から記載内容の旨を伝えられたことを立証しなければならず、(good)「丙からtel」という記載自体だけでは乙と丙の共謀を立証できない。したがって、要証事実は丙から犯行前に本件メモ記載内容旨の電話があったことである。非伝聞と考えやすい点→本件犯行が本件文書の計画通りにやった、本件メモの「マニュアル」は本件文書を指すと推測可能→本件メモは本件犯行に関するもの、そのメモに「丙からtel」と記載。丙の関与有りなのでは?無関係なもの書かないでしょ。でも、それは結局丙の電話があった旨を無意識的に考慮してるのではないか、この記載だけで丙から記載内容の指示があった旨を推認できないと思われる。「1/5」のやつは個人的にあまり好きでない。

したがって、本件メモは公判外でなされた供述を内容とする証拠であり、その居述内容の真実性を立証するために用いられているといえるから伝聞証拠にあたる。

イ 伝聞例外

本件メモは3号書面として伝聞例外が認められないか(321条1項3号)。

(ア) 乙は一貫して丙についての供述を拒絶しており、その意思は固い。したがって、乙は実質的に見て「供述することができない」といえる。例示列挙、相当程度継続して供述を拒否

(イ) 丙と乙との共謀について、本件メモの証拠能力が認められないと、事実認定が異なる結果になるいえるから、「犯罪事実の存否の証明に欠かせない」といえる。本件文書だけじゃ共謀認められない可能性ある。事実認定が著しく異なる可能性あるといえる。

(ウ) 特信情況は、証拠能力の問題である以上、外部的付随的事情で判断し、供述内容は考慮要素にとどまる(同号但書)。

 本件メモは関与者以外見せるものではない。虚偽の事実を書く意味がない。実際、供述内容と実際の犯行内容は相当程度一致している。

 でも、供述内容からして丙を巻き込むことは考えられるのではとも思える。例えば、捕まった時のことを考えて何も関係ない第三者丙からtelと記載しておくことで主犯者でないという利益を乙は獲得できるかもしれない。それでも本件では乙は丙をかばってるそぶりを示しているから上記疑問はないかもしれない。