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H27 民訴

第1 設問1

1 既判力との抵触

予備的反訴は反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力のある判断示された場合にはその部分については反訴請求しないというものである。その性質上→もっと掘り下げるべきであった、本訴と反訴の弁論を分離することはできない(民事訴訟法(以下略)152条1項)。

そして、本訴請求債権が存在すると判断された場合、反訴請求債権は本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断示される(114条2項)。他方で、本訴請求債権が不存在であると判断された場合でも反訴請求債権は反訴請求として審理され既判力ある判断が示される(114条1項)。いずれにせよ、反訴請求債権については既判力ある判断がなされるところ、上記のとおり、本訴と反訴の弁論を分離することはできない以上、既判力の矛盾抵触が生じるおそれはない。わかりにくい。自働債権として反訴請求債権が審理された場合には、反訴請求として審理されないから既判力の矛盾抵触はありえない。

平成3年判決では本訴と反訴は併合審理されているものの、弁論分離がなされ、既判力の矛盾抵触がなされるおそれがある点(152条1項、裁量)で、本件とは事案を異にするものであり、本件で相殺の抗弁を主張することは適法である。

2 二重の利益の享受について

上記のとおり、反訴請求債権は、相殺の自働債権として既判力ある判断が示されるか(予備的抗弁に言及したい。本訴請求債権が存在するとされてから審理される)、反訴請求として審理され既判力ある判断が示されるかのいずれかによることとなる。反訴原告は、前者の場合に相殺による簡易、迅速かつ確実な債権回収への期待を得ることとなり、後者の場合には債務名義を得るという利益を享受することとなる。上記予備的反訴の内容からすれば、この2つの利益を同時に享受することは不可能である。

そのため、反訴原告が二重の利益を享受することにはならない。

3 処分権主義違反

(1) 訴訟の提起、終了等を当事者の権能に委ねる建前たる処分権主義(246条)の趣旨は当事者意思の尊重であり、その機能は当事者への不意打ち防止である。

したがって、①原告の合理的な意思に反しなく、②被告への不意打ちとならない場合には、処分権主義に反しないと考える

(2) 本件では、訴えの変更をしないで反訴が予備的反訴として扱われることが問題となっている。

反訴原告が反訴を提起した後にており、債務名義を得ることができるにもかかわらず、相殺の抗弁を主張していることからして、本訴請求債権が存在するという場合には、反訴請求債権を反訴請求として扱われ債務名義を得るという利益よりも、相殺の自働債権として扱われ簡易、迅速かつ確実な債権回収への期待を優先させているというのが反訴原告の合理的意思に適う。(①)実質的にも、本訴請求債権が存在する場合反訴請求債権について債務名義を取得するより、相殺処理のほうが楽でしょ。強制執行し合うのバカでしょ。

また、上記のとおり、反訴請求債権は反訴として扱われようと予備的反訴として扱われようといずれにせよ既判力ある判断がなされる(考査委員は読み取ってくれるかもしれないが、ここでは反訴被告が反訴請求債権の不存在につき既判力ある判断を得たいという利益が害されないことが重要)のであって、反訴被告としては反訴請求債権の不存在を主張・立証していくという点で防御方針が異なることはない。そのため、予備的反訴として扱われることになっても反訴被告に不意打ちを与えることにはならない(②)。

4 以上の点から、本件で相殺の抗弁を主張することは平成3年の判決に抵触しない。

第2 設問2

 第一審判決では、Xの本訴請求債権及びYの反訴請求債権のいずれの存在及びYの相殺の抗弁を認め、Xの請求を棄却しているところ、控訴審ではXの本訴請求債権が不存在との心証を得ている。比較せよ→二つの手法を明示→いずれもXの請求は棄却されているからXに不利益でないように思える。しかし、既判力の生じる範囲の観点から不利益変更禁止の原則に抵触しないか両者を検討する。(こういう流れのほうがよさそうにみえる)

1 控訴審は、心証どおり、第一審判決を取り消して、請求を棄却する旨の判決を下すことが考えられるが(304条、302条2項)、これは不利益変更禁止の原則に反しないか(296条1項、304条、296①よりもまずはこれ)。既判力の生じる範囲の観点から検討する。

第一審判決、控訴審判決は共にXの請求棄却であり、Xの本訴請求債権の不存在につき、既判力が生じることは問題ない。しかし、前者は相殺の抗弁により、自働債権たるYの反訴請求債権の不存在についても既判力が生じているのに対して、後者は本訴請求債権の不存在として請求を棄却しているため予備的抗弁たる相殺の抗弁が審理されず、その結果Yの反訴請求債権について既判力ある判断がなされていない。そうだとすれば、Yの反訴請求債権の不存在について既判力ある判断がなされているという点で、前者の方がXに利益である。反訴請求として反対債権を審理する。不存在なら既判力は第一審判決と同じ。存在ならXに不利。どっちにしろXに有利とはならないこと、Yは反対債権の不存在について既判力が生じることは文句ないことから反対債権の有無を審理せず、控訴棄却すべし。

Yによる控訴及び附帯控訴がない以上、控訴審が上記判決をすることは不利益変更禁止の原則に反する。

2 他方で、控訴審が控訴棄却判決を下す場合、第一審判決は取り消されていないため。Yの反訴請求債権の不存在についても既判力が生じている。そのため、1の判決と異なり、Xは請求が棄却されているものの第一審より不利益に扱われることはない。

3 以上より、控訴審は2の判決を下すべきである。

第3 設問3

1 不当利得返還請求権の要件は、①Xの利得、②Yの損失、③①と②の因果関係、④法律上の原因がないことの4つである(民法703条)。Yの言い分を当てはめると、Xは請負代金請求を受けるべきところ、Xは受けずに済んでいるという利得があり、Yは請負代金が請求できないでいるという点で損失がある(①.②、③)。そして、請負代金請求権に対する債権は存在せず、相殺の要件を欠いているから、Xの利得は法律上原因がない(④)。しかし、Yの上記主張は以下のとおり既判力に反する。

2 114条2項の趣旨は、自働債権の二重行使を防ぐ点にあるところ、かかる趣旨からすれば114条2項の解釈としては、「相殺をもって対抗した額」の自働債権の不存在に既判力を生じさせれば十分である。

本件では、第一審判決によりYの反訴請求権たる請負代金請求権の全部の不存在について既判力が生じている。したがって、Yは請負代金を請求できず、Xは請求されることはないという点で、Yの上記①、②の主張は既判力に反する。

3 以上より、Yの請求は既判力によって認められない。

端折りすぎ、基本問題のためもっと書かないと

既判力は、審理の弾力化、簡易化を図るべく、訴訟物たる権利関係の存否の判断に生じる(114条1項)、114条2項は〇→本件では~〇〇について既判力が生じている

既判力の作用について抜けている(既判力の作用について検討してくださいっていう文言あるのに)訴訟物が同一ではないけど既判力及ぼしたいのなら先決か矛盾しかない

同一、先決、矛盾

本件では、Yが請負代金請求権を有しているということが請求の前提となっている。→先決

消極的作用を述べた上で、Yの請求は①、②を欠くため認められない。(=既判力によって認められない。)