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H22-1 刑訴法

第1 警察官が令状なくして、Xの事務所に立ち入り、甲を現行犯逮捕(刑事訴訟法(以下略)213条、212条1項)したことは適法か。

 1 法が、現行犯逮捕が無令状で許される行えるとしたのは、逮捕者にとって犯罪・犯人が明白であり誤認逮捕のおそれが少なく、また緊急の身柄拘束の必要性があるからである。上記趣旨及び212条1項の文言よりに鑑み、現行犯逮捕の要件は、①犯人・犯罪の明白性、②時間的接着性、③逮捕の必要性である。

2 警察官は甲の着衣から覚せい剤を発見しており、警察官にとって覚せい剤所持の犯人が甲であることは明白である(①)。また、警察官は近くに逃げた甲をすぐに追って逮捕に至っているため時間的接着性も認められる(②)。甲は警察官が逮捕に着手した際、逃亡しており、甲は再び逃走する恐れがあるから、逮捕の必要性がある(法199条2項但書、同規則143条の3参照)(③)。追跡

3 警察官は甲がXの事務所に逃げ込んだのを現認しており、甲を「逮捕」するため、「必要」な行為として、無令状でXの事務所に入り、甲を「捜索」することができる(220条1項柱書、1号、3項)。

4 よって、警察官の上記行為は適法である。

第2 警察官が無令状で、Xの事務所内の机の引出しを開けて中を捜索した行為は、「逮捕の現場」の「捜索」として適法となるか(220条1項2号、3項)

 1 同条が無令状で捜索できるとしたのは、逮捕の現場には類型的に見て被疑事実に関する証拠の存在の蓋然性が認められる高いため事前の司法審査を経る必要がないからである。そのため、「逮捕の現場」とは、令状を請求すればの発付を受ければ捜索しうる範囲、すなわち逮捕の場所と同一管理権内の場所及びそこにある物をいう。論証△

2 警察官はXの事務所で甲を逮捕しており、同事務所の机の引出しはXの事務所と同一管理権内にある物であるから、警察官は引出しを捜索できる。

3 捜索の物的範囲→携帯電話捜索可能。

警察官は、逮捕した甲がXの事務所に逃げ込んだ際に手に持っていた携帯電話機を所持していないことに気づいていることから、携帯電話はXの事務所にあると考えられる。携帯電話は覚せい剤の取引の際に使用された可能性があり、覚せい剤所持の被疑事実を明らかにする上でも重要な証拠となりうるため、これを発見する必要がある。そのため、携帯電話が隠されている可能性があるXの事務所を捜索する「必要」はある。

机は近接した場所

①携帯の捜索可能か、②222条1項本文前段、102条2項、③「必要」

4 よって、警察官の上記行為は適法である。

第3 警察官が現行犯逮捕した後、乙を1キロほど離れた警察署に連行した上で、その直後同人の身体を捜索した行為は「逮捕の現場」での「捜索」といえず、220条1項2号の捜索として許されないのではないか。

 1 被疑者の身体・所持品捜索・差押えの場合、逮捕状況に照らしてその場での実施が不適切なときは、速やかに捜索に適する最寄りの場所に連行した上、実施することも220条1項2号は併せ許容していると考える。

2 乙は逮捕後大声でわめき暴れており、身体の捜索に対して抵抗していた。また、乙のこの行為により周囲に野次馬が集まってきており、この場で乙をとどまらせることは乙の名誉を害しかねない。+捜索により乙のプライバシー害するそのため、乙を路上で捜索することは困難ないし適切でない。警察官の上記行為は捜索に適する最寄り場所たる警察署に連行した上、直後に捜索するものであり、220条1項2号に反するものではない。

3 以上より、警察官の上記行為は適法である。

以上